プロポーズ

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「絶っ対に帰らない!お母さんは私が居なくてもいいって思ってるもん!!」 そうに決まってる。お母さんは妹のヒナが産まれてからずっと、私のことなんて要らないって思ってる。今朝だってヒナにべったりのお母さんと喧嘩したばかりだ。 「そんなことないと思うけどなー…だってカナちゃんのお母さん凄く心配して、俺の家まで探しに来たんだよ?」 少し呆れたように私を見て、ノロノロと話すトーヤ君にイライラと黒い感情が増す。 何も知らないくせに。 お母さんもお父さんも、ヒナに構いながら私に言うんだ。「カナはお姉ちゃんなんだから、我慢しなさい」って。何それ。 それにムカついて、悲しくなった。 私のものだった筈のオモチャも、いつの間にかヒナが遊んでいて。「返して!」って怒って乱暴に取り返せば、「いい加減にしなさい!」って怒られた。 「私、もうあんな家に帰んない!!」 「えー!じゃあ、どうするの?」 「ここで暮らす!!!」 そう断言し、漕いでいたブランコの鎖をぎゅっと強く握る。そんな私を見て、トーヤ君は「困ったなぁー」と丸いオデコに手を当てた。
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