待ち人来る

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 空港から車を走らせること二時間くらい。ようやく地元まで戻ってきた。  亮汰の住むマンションがあるのは、大通りから曲がり、市道へと入る。  そこには昔、薄暗く不気味な森があった。小学生の頃、そこで白い影を見たとか、宇宙人が居たとか、そんな噂があった。  夏に肝試しをしようということになり、夕暮れ時にその森に行ったが怖くて途中で逃げてしまった、そんな思い出がある。 それが今では開けてマンションが建ち並ぶ。 「ここってね、小学生の頃にオバケがでるって噂のあった森があった場所よ」 「あぁ、あのオバケの森か」  懐かしいなと隆也が笑う。やはり、夏に肝試しにいったんだと言って笑った。 「あれ、実家ってここの道を通るんだっけ?」 「行けば解るわ」  と言うと、車はあるマンションの地下駐車場へと入っていく。 「え、マンション?」  引っ越しをしたのかと口にするが、 「ふふ」  含み笑いをして質問に答えぬまま、マンションの地下駐車場へと入って行く。  車を止めて外へと出ると、ついて来てと桜が先に歩いていく。エレベーターで五階へ昇り、一番奥の部屋へと向かい鍵を開けた。 「さ、入って」  とドアを開け、隆也はスーツケースを玄関に置いたまま上へとあがる。  一番奥にリビングダイニングキッチン。シンプルな部屋はどうみても女性というより男性が好むような内装だ。 「ここって……」  隆也が何かに気が付いたようで、ゆっくりと亮汰の方へと顔を向ける。 「当たり」  そう、ここは亮汰の住まいだ。
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