116人が本棚に入れています
本棚に追加
そこは運動不足を解消したいとか、ストレス発散が目的で通っている大人も多く、練習後に飲みに行くのも楽しみの一つだった。
「まぁ、ピークは過ぎても残業しねぇとだからな」
「そうなんですよねぇ……」
がっくりと肩を落とす。
「ほら、あと二日で休みだろ」
会社は週休二日制なのだが、繁忙期になると土曜も出勤となる。
今週も土曜日は出勤となっているが、多分、半日で大丈夫だろう。
「うう、そうですね」
仕事を始めようと椅子に座ると、机の上に置いておいたスマートフォンが震える。
画面を見ると桜からで、メールを開くと、隆也を亮汰の所に住まわせてほしいということだった。
二年前からから桜の家族が長谷家に同居をはじめ、家を建て替えた。確か、隆也の部屋はないようなことを言っていた。
帰ってこないのが悪いと、その時はそう話していたが、帰国したのに住む所がないとなったら可哀そうだ。
借りているマンションは2LDKで、洋室を寝室として使っているだけでほぼリビングにいるし、和室は客が来た時ぐらしか使っていない。
「おい、水瀬。日曜日、買い物に付き合え」
「買い物ですか、それなら、土曜日に泊まりにきてくれます?」
部屋で一人で過ごすのはあまり好きではないらしく、休みの前の日になるとよく誘われる。
それなら恋人を作ればいいのだろうが、それが上手くいかないのだとぼやいていた。
「わかった」
「やった」
喜んで抱きついてくる水瀬に、鬱陶しいとその身を引き離す。
「あん、冷たい。唯香ちゃんはよいのに、俺は駄目なんですか」
「唯香は可愛いからな」
「そりゃ、そうでしょうけどぉ。後輩にもう少し優しくしてもいいと思います」
と抱きついて肩に頭をぐりぐりとくっつける。
「犬ですね」
遠崎がずばっというと、また周りが笑いに包まれた。
最初のコメントを投稿しよう!