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それから、食事を終えて家具・インテリア店へと向かう。
「何を買うんですか?」
「あ……、布団と衣装ケース。後は座椅子に折り畳みのテーブルくらいか」
桜からは布団だけあればいいと言われたが、一人になりたいときに部屋で使ってもらいたい。
「ちゃぶ台なんてどうです?」
「おう」
座布団に座りお茶をすする、そんなのんびりとした過ごし方もいいなと思いかけたところに、べつなものと目が合ってしまった。
「あれがいい」
折り畳み式の文机と書いてあった。
「わ、書生さんですね」
「窓際に置いたらよくないか」
「はい。絶対にウケます」
「ウケ狙いじゃねぇし」
と笑い、それを購入することにした。
「後はマンションに運ぶだけですね」
買った荷物を車にのせ、今度は亮汰のマンションへと向かう。
なにもなかった和室に物を置いただけなのに、隆也が帰国するという実感がわいてきた。
「イトコさんの帰国、二日後でしたっけ?」
「あぁ。その日、半休を貰ったから仕事は任せる」
「了解です。それにしても、相当楽しみなんですね」
普段は仕事優先なのにとくすっと笑う。
「悪いか?」
「いいえ。それじゃ俺はそろそろ帰ります」
やたらといい笑顔を浮かべられた。本気で良かったなと思っているのだろう。
たまにそういうことを察してくるからムカつく。
だが、そういう男だからこそ可愛がってしまうわけだ。
「おう、今日はありがとうな。気を付けて帰れよ」
「はい。また明日」
玄関のドアが閉じ、亮汰は和室へと向かう。
「あと二日か……」
文机の前に座って天板を撫でる。
はやく会いたいという気持ちが抑えきれないのは、この部屋のせいだ。
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