晩餐会と嘆きのお姫さま

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(しめた……) ジャレッドは心の中で舌舐めずりをしながら、笑顔を貼り付け続ける。 「えぇ、そうです。建前として、ゲームをしましょう。人間はというのは、大きな行動をする時に建前を必要とするものなのです」 「はぁ……、そうなのですね。分かりました、どんなゲームをするのですか?」 ゲームという言葉に、オリヴィアは胸を弾ませる。オリヴィアが今までやったことのあるゲームと言えば、チェスやトランプくらいで、それらは彼女にとっては退屈でしかなかった。きっとジャレッドなら、自分が知らない楽しいゲームを教えてくれるだろう。そんな期待でいっぱいになる。 「夜風はお体に障りますよ。私の部屋へ行きましょうか」 ジャレッドがイタズラっぽく微笑むと、オリヴィアは困惑する。 「あの、えっと……」 「安心してください。貴女様には指1本触れません」 オリヴィアにそう言って背中を向けると、ジャレッドは緩やかな歩調で歩き出す。オリヴィアは一抹の不安を抱えながらも、期待と好奇心でいっぱいの胸を抑えながらジャレッドの後をついていく。
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