結城 要

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結城 要

空は梅雨の到来をにおわせるような、のっぺりとした灰色の雲に覆われている。 『、、、かな、め、、し、、り、、て』 遠くから聞こえるアラーム音、僕の名前を呼ぶ声。 痛くて苦しくて 目を開けることも 声を出すこともできない 僕を呼ぶ医者、看護師、大好きな両親、大好きな兄弟、大好きな愛しい人。 ごめんなさい もうみんなの顔を見て 笑って 話すことができない 本当にごめんね 短い人生だったけどすごく楽しかったよ 僕がいなくなってもみんな元気に笑って過ごして欲しい たまにでいいから僕のこと思い出して欲しいなぁ 少し、、、いや、すっごく嫌だけど、恋人には新しい恋を見つけて欲しい みんなごめんなさい 本当にありがとう 大好き 灰色の空からはぽつぽつと雨が降り始め、アスファルトを黒く塗っていく。 結城要の人生が終わりを告げた。
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