宮藤 篠亜

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ベンチにうずくまり泣いてどれくらい経っただろうか。 頭上から「、、大丈夫?」と聞き慣れた懐かしい声が聞こえる。 、、えっ?、、何で、、 空耳だろうかと声のする方向に顔を上げると、そこにもう話すことは出来ないと思っていた紫音が心配そうな表情で僕の顔を窺っていた。 これは現実なのだろうか? そうだ、、ここ(忘園)は要と紫音にとって秘密の場所。要の生前、学園に入学後ここを見つけ、ほぼ毎日来ていた。 紫音、まだここに来ていたんだ。 ハンカチを手渡され、そのハンカチで涙を拭う。ハンカチから微かに懐かしい紫音の香りがして余計に涙がとまらなくなる。 「、、ぅう」 「えっ!本当に大丈夫!?」 そんな僕の姿にびっくりした紫音が慌てた様子で優しく背中を擦り聞いてくる。 「、、ごめん、、なさい、、、だい、じょぅぶ、、ひく」 本当に変わらない。 泣きやむまでさりげなく側に居て、優しく背中を擦ってくれる。話し始めたら真剣に聞いてくれて、一緒に考えてくれる。優しくて、安心できる場所。 今だけは紫音の温もりを感じていたい。
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