宮藤 篠亜

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紫音とベンチに座りながら事故で始業式に出れなかったことや、学校生活について話をする。また、紫音とこんな風に話せるとは思わなかった。 「ねぇ、篠亜は何でここの場所を知ってるの?ここ別名「「忘園」」って、、そう」 僕が別名を知っていることにびっくりしたのだろう。つい言ってしまった。僕と紫音で考えた秘密の名前。 誤魔化すしかないよな、、。 「、、ここの、卒業生に聞いたことがあって!、、どうしても一人になりたい時にここにくるんだ」 実際、篠亜はここのことは何も知らない。 紫音は「そうなんだ、、」と少し考える表情を見せ、「、、俺も一緒。一人になりたくてここにくるんだ」と言うと泣くのを我慢した悲しい表情に変わる。 紫音がこの表情をするのは決まっている。いつも要のことを考えているとき。 今も紫音の心には僕(要)がいるのだ。 紫音には幸せになって欲しい。好きな人だったからこそ幸せを願いたい。 だからもう僕(篠亜)は紫音に関わってはいけないとも思う。 体勢と目線を紫音に合わせ「紫音、泣きたい時は泣いていいんだよ。でも、笑顔!笑顔を忘れないで。僕、紫音の笑顔に力を貰えたから!、、てっ、さっき知り合ったやつが何言ってんだって感じだとは思うけど、、」と笑顔を向ける。 泣いたっていい。 泣くのを我慢した表情を見るのは辛い。 無理した笑顔はもっと辛くなる。 紫音が無理した笑顔や悲しい表情をするときはいつも僕のこと。でも、紫音の笑った瞳は珍しい綺麗な藤色で、その瞳に笑顔に勇気と力をもらっていた。紫音、僕が居なくなっても笑顔を忘れないで欲しい。 紫音は目を大きく見開き驚きの表情を見せ、「、、ーーー」と僕には聞こえない小さな声で呟くと強く引き寄せられ抱きしめられる。 「、、ぇっ」 「ごめん、、ちょっとこのままで」 抱きしめられて表情を確認することは出来ないが、紫音が泣いていることが分かる。 背中を優しく擦り、落ち着くのを待つ。 しばらくすると「ありがとう」と小さな声が聞こえ、視線が合うと唇が数センチで触れ合う距離になる。 これ近くないか、、と思っていると自分のスマホが鳴り、びくりとして「ごめん」と離れる。 紫音も「ごめん」と謝り、電話に出るように言う。 相手は篠亜の恋人、矢岳 羽月だ。
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