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僕は人からよくおとなしいと言われる。
そんな僕は家に引きこもりがちで、人間嫌いだった。
当然、そんな僕を好きになってくれる人はいなかった。
しかし、彼女は違った。
彼女は僕を気に入ってくれて、愛してるとまで言ってくれた。
僕は彼女と付き合うことにした。
彼女は僕を家から何とか外に出そうと、あの手この手を使って誘い出そうとした。
そのたびに僕は「外に出るのが怖いんだ」と言って断った。
そんな僕に対して怒ることもなく、彼女は笑顔で「じゃあ、また今度ね」と言ってくれた。
彼女は辛抱強く、僕を見捨てずに接してくれた。
彼女の態度に僕の心は次第に解きほぐされ、家の外に出ようという気になった。
「どう、外に出てみない。今日は満月で月が綺麗よ。雲ひとつない澄み渡った空なんですもの」
彼女はため息をつく。また、僕が断ると思ったのだ。
しかし、そんな彼女の思惑とは反対に、僕は「いいよ。外に出よう」と言った。
彼女はとても喜んでくれた。
彼女はせっかく僕と一緒に外でデートが出来るんだからと言って、準備をしに家に一度帰った。
「おまたせ」
そう言って現れた彼女はとても素敵な姿をしていた。
白いワンピースを着て、赤いバンプスを履いていた。とてもシンプルな格好ではあったが、それがとても彼女には似合っていた。
「寒くないのかい」
今は季節の変わり目で、夜になると冷える。
僕は彼女が風邪を引かないか心配だった。
「大丈夫よ。もし寒くなったらあなたがいるもの」
そう言って、彼女は僕にやさしく抱きついた。彼女からはとてもいい匂いがした。
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