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かくれんぼ
「も~ぅ、いいかぁ~い?」
「も~ぅ、いいよぉ~」
昼食後、近所の子と一緒にかくれんぼを始めた。
最初の鬼は雅孝。
兄の同級生で意地悪な兄とは正反対の優しい人。
俺はいつも一番に見つかってしまう。
どこに隠れても、誰が鬼でも、いつも最初に見つかってしまう。
「聡は単純」
いつも皆に言われる言葉。
草むらの影、木に開いている大きな穴の中、小さな洞窟の中、小高い木の上…。
音も気配も消しているのに、なぜか見つかってしまう。
だから今日はいつもとは趣向を変えてみた。
少し離れた神社の境内の本殿の床下。
兄達の体の大きさではまず入れない場所。
(ここなら誰にも見つからない)
雅孝の声が聞こえてから随分経つけど、まだ見つからない。
(やった!今回は最後まで見つからずにいられるかな?)
そわそわしながら隠れていると、程よく満腹なのとかくれんぼ特有の緊張感から眠気が襲ってきた。
(寝ちゃダメだ。寝たら見つかっちゃう。寝たら…見つかる…)
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