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白亜、黄雅、青音の三人は婚活パーティーに来ていた。このパーティーは黒彦と赤斗が恋人のいない三人のために企画したもので、会場は赤斗の『イタリアントマト』だ。大人向けで、ワインとチーズを頂きながら会話を楽しむ。市内からアラサーの男女10組が集まっている。
受付をしている茉莉に言われるまま、白亜はプロフィールをカードに記入する。
「白亜さんは、あの席にお座りください」
「そう。あれ、俺と黄雅と青音はばらけてんの?」
「ええ。イケメン固まっちゃうとあれなんで」
「フフッ。しかし茉莉ちゃん見るたびに綺麗になるね」
「えっ、あ、へへっ」
「今度、どっか遊びにいかない?」
「えっ、あ、あのー」
婚活パーティーに来ているのに、受付の茉莉を軽く口説いている白亜に、赤斗は後ろから咳払いする。
「あ、赤斗いたの」
「いるよー。俺の店だし。とっとと座って」
「はいはーい」
黄雅と青音はすでに大人しく座っている。白亜はなんで俺たち三人が婚活パーティーに参加してるんだろうと、不可思議な気持ちでいる。
――黒彦が話を持ってきた時に白亜は難色を示す。
「なんで、婚活?」
「お前たち三人が寂しそうだからな」
「えー。別に作ろうと思えばすぐ恋人くらい作れるってば」
「だめだ。そんなこと言ってたらあっという間に時間は過ぎてしまうぞ」
「はあ……。黄雅と青音だって余計なお世話って感じじゃないのー?」
「そんなことはない。あの二人は出会いがないから、ちょうどいいかもと言っていた」
「ええー。ああ、そっか。青音の客はだいたい骨董マニアの男だし、黄雅んちは親子連れだもんな」
「それに店を継いでこの商店街で落ち着こうと思っているようだ」
「それは俺もそうだけどさあ」
「まあ、参加しろ」
「はいはーい」
そんなに乗り気ではなかったが黒彦が言うので参加しただけだ。
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