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参加者が揃ったところで、黒彦が司会として登場する。シックなスーツでタイムスケジュールを話す。
女性たちが黒彦を見ながら「あの人は参加しないのかなあ」と騒めいていた。
派手な容姿で赤斗と白亜と黄雅がぱっと人目を惹くが、落ち着いた雰囲気の黒彦と青音と緑丸も女性を惹きつける。特に最近の黒彦はより成熟し、男の色気が醸し出されている。
「桃のおかげかなあ」
仲間内の中で最も若々しい白亜は対照的な黒彦に憧れないわけではない。
「ま、俺は俺だしなあ」
適当に女性と会話を楽しんで気が合えばカップルになるだろうと気楽に構えていた。
婚活パーティーが終わったころ、桃香は『イタリアントマト』に様子を見に来た。
「こんにちはー。もう終わりましたー?」
片付けていた茉莉が桃香に気づき「桃香さん、こんにちは。終わってますよー、どうぞー、あっちに黒彦さんたちいますよ」と笑顔を見せる。
店内はもう静かになっていて、白亜と黄雅と黒彦は何やら神妙な雰囲気で座っている。
「お疲れ様です。どうでした?」
「やあ、桃。なんか駄目だった」
「えー。どうして……」
モテモテだろう白亜と黄雅がカップル成立していないことに桃香は驚く。そして青音がいないことに気づいた。
「青音さんは?」
「あいつはカップリング出来て、今頃お楽しみじゃない?」
「えー!? 青音さんがあ!? どんな女性とカップルになったんですか?」
三人の中でも一番控えめそうな青音がカップル成立していることにも驚く。
「んー。なんかおっとりしてる感じの、そうだなあ、桃ちゃんにちょっと感じが似てる子だったかな」
「へ、へえー」
「おい。何を嬉しそうにしている」
黒彦が桃香に鋭い一瞥を加える。
「え、べ、別に。いいじゃないですか。カップル成立してて」
「ふーん」
「まあまあ、それよりも俺たち、ちょっと簡単に考えすぎてたかもしれないね」
黄雅は黒彦をなだめながらふうっとため息をつく。白亜も椅子に身体を猫のように伸ばして預け「なんかー自信無くすー」と言い始める。
「どんな感じだったんですか?」
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