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いつものユニフォームである黄色いトレーナではない黄雅は、スタンドカラーのシャツを着ていてより王子様のようだし、白亜は胸元が大きく空いた大きめの襟のカッターシャツでセクシーだ。
こんなにかっこいい二人なのにと桃香はカップル不成立が不思議でしょうがない。
「最初はさあ、いい感じだったんだよねー。女の子たちも楽しそうだったしさ」
どうやら会話は白亜も黄雅も女性たちとよく盛り上がっていたようだ。二人とも一番楽しく話した相手の名前をカードに記入した。最後にお互いの名前が書かれているとカップル成立となるのだが、相手は別の男とカップルになっていた。
「女性はどんな人とカップルになってたんですか?」
「俺の方は、公務員とカップルになってたかな。まあ、真面目で優しそうな男だったよ」
黄雅はショックでもなさそうで、爽やかに優雅に話す様子に桃香は眩しく感じた。そしてきっと女性が黄雅の貴族的な雰囲気に気後れしてしまったんだろうと結論付ける。
「こっちは銀行マンにやられたよー。なんだかなー。自営って弱いのかなあー」
白亜の率直な物言いと伸びをし、背を逸らすセクシーなポーズに桃香は思わずドキドキする。
「おい。このプロフィールの記入はなんだ」
黒彦が2人のカードを机に置いて指をさす。黄雅の紹介文には『一緒におもちゃを使いたい』と書かれてある。
「これじゃあ、変な誤解を招くだろう」
「え? そう? 俺んち、おもちゃ屋だしさあ」
「もういい大人なんだ。もっと他の言い回しがあるだろう」
「うーん……」
黒彦は渋い顔をして白亜のカードにも指摘を入れる。
「収入のところに『母親に任せてます』はないだろう!」
「だってさー。ほんとのことだし」
「これじゃあマザコンだぞ」
「えーっ」
「しかも自分の性格を『適当』なんて書くやつがあるか」
「自分の性格なんて知らないってばっ」
「はあっ……」
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