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白亜も思い出していた。確かに黒髪の美しいロングヘアーの女性を助け出し、そして当時ピンクシャドウだった白亜が、心に傷を残させないようにカウンセリングを施したのだった。自分のカウンセリングの効果がなかったのかと、白亜は残念でしょうがなかった。恐らくその時の恐怖でミサキは髪を伸ばせないのだろう。
「あの時……、俺が、もっと……」
「ん? どうかしました?」
「あ、いや」
「助けてもらったセクシー戦隊のピンクシャドウがとても素敵な人で優しくて。私の頭を撫でてくれた時にものすごく安心したんです」
「セ、セクシー戦隊……」
「だけど一人になるとやっぱり怖くって、髪を引っ張られたことを思い出しちゃうんです」
「そっか、伸ばすと怖いのか」
「それもあるんですけど。ピンクシャドウのマスクの裾からちょっと髪の毛が見えたんですよね。柔らかそうな茶色の。きっと正義のヒーローはショートヘアーだろうなと。ショートにすれば怖かったこと克服できるんじゃないかって」
「ミサキさん……。君って頑張り屋さんなんだね」
「全然、そんなことないですよー。今まで髪に頼りきってて他の女子力を上げてこなかったし。ほんとピンクシャドウみたいな人が本当の女子力の持ち主だろうなあ。胸もすっごい大きかったし。私なんて……。あれ? なんでこんなにしゃべってるんだろ?」
どうやら薬の効果は消えてしまったようで、ミサキは少し大人しくなった。カットもちょうど終わり、簡単なブローとセットで全て終わった。
「お疲れ様でした」
「ありがとうございました。また来月お願いします」
「あ、うん。ここでいいかな」
「はい! あ、そうそう。白亜さんの手付きってピンクシャドウに似てて本当に安心します。じゃまた来月!」
ミサキはいつもより明るく立ち去った。逆に白亜は考え込む。
(どうするかなあー。黒彦に相談――いや、あいつの産んだ怪人だから変に責任感じさせても気の毒だしなあー)
小悪魔のような雰囲気の白亜だが心は優しく紳士だった。そしてセクシー戦隊と言われたことも気になっている。
(だからオッパイ詰めすぎだっての!)
白亜はもっと男らしいセクシーさを身に着けたいと願っているところだった。
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