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『イタリアントマト』はすっかり片付き、黄雅が黒彦に説教をされていた。
「まったく。この記入はなんだ? 前回言っただろう!」
「言われたとおりに変えてるじゃない」
「『おもちゃで一緒にプレイしたい』ってなんだ! 前よりひどくなってるじゃないか!」
「えー!?」
優雅な黄雅は少し困り顔をしている。
「カードの記入もイマイチだが、もう一つ問題があった」
「え? 何か俺、無作法なことでもあったかなあ」
黒彦が渋い顔をする。
「たこ焼をナイフとフォークで食べる奴があるか」
「え? だめ? 俺、猫舌だし、ちょっと大きい気がしたんだよね」
「まったく。『ローマではローマ人達がするようにせよ』って言葉知らないのか。みんなナイフなんか使ってなかっただろう」
「そうなんだよねー。よく平気だよなあって感心してた」
「ちっ」
そこへ赤斗が割って入った。
「まあまあ。たんに合う相手がいなかっただけだって」
「ふうっ。しかし今回成立率低かったな」
「ああ、婚活の女王がきてたからみたいだよ。カップルになった一組の男以外、全員前田ミサキさんの名前書いてたからね。黄雅も」
「なに? あのミサキか?」
「うん。すごいね」
赤斗が感心していると、黄雅もうんうんと頷いていた。
「同じ席の女の子が言ってたよ。婚活の女王が来てるから今回無理だなって。前は髪が長かったのにどうしたんだろうとも言ってた」
「で、黄雅も女王が良くて名前書いたのか?」
「うーん。みんな書いてるらしいから書いてみた。でもはずれだったね」
「ちっ、抽選じゃないんだ」
「まあまあ、その女王様と白亜がカップルになったんだから、さすがというか――ね」
「白亜のやつも、黄雅みたいな感覚だろうがな……」
白亜がとりあえずカップル成立したので、良しとし三人は行く末を見守ることにした。
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