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気まずさに白亜は話を変える。
「ミサキさんはなんでそんなに結婚したいの? そんなに焦ることないんじゃないの?」
「うち転勤族で、この町にやっと落ち着いたんですけど、私には故郷がないんですよね。両親にはあるけど。だからかな。早く結婚して落ち着きたいんです。なかなかうまくいかないけど」
「そっか」
「白亜さんはいいですね。地元で、仲間もいて、そういうの羨ましくて」
海外暮らしが長く地元のことに意識はなかったが、ミサキに言われて改めて故郷とは良いものだと白亜も実感する。
「確かにこうやって地元にいると安心感があるよね」
「でしょ? たぶんピンクシャドウもこのあたりの人で地元を守っているんだなあって思います。私の勘ですけどピンクシャドウさんは他のシャドウファイブのメンバーの奥さんですよ。誰だろ、マッチョなグリーンシャドウかなあ」
「う、うえっ、緑丸と……」
白亜はミサキの勘は鈍いなと思っていた。
「ん? どうかしました?」
「あ、いや、こうなったら、らちが明かないな。やることやってみてから考えよっか、今後の事」
「え? やる事? なんですか?」
「フフッ。行こっ」
「ど、どこへ?」
会計をすまし、ミサキの手を引き白亜は歩き出す。
「俺の部屋」
ウィンクをしながら言う白亜にミサキの頭の中は真っ白になる。気が付くと『ヘアーサロン・パール』の裏口から白亜の部屋に通されていた。
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