ホワイトシャドウ(旧ピンク)松本白亜(まつもと はくあ)編

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「ど、ど、どうしよ、どうしよ……」 うろうろと部屋を行ったり来たりするが、この部屋から立ち去ることがミサキには出来ず、ただ困っていた。数分もするとバスタオルでゴシゴシ頭を拭いて出てくる白亜が「じゃ、そこタオルあるから」とミサキにシャワーをすすめる。 「あ、あう、あわ」 考えも気持ちもまとまらないまま、ミサキもシャワー室に入った。 「と、とにかくシャワーして、すっきりさせるしか……」 コンパクトなシャワー室は全身シャンプーが置いてあるだけだった。ポンプを押し、シャンプーを手に取ると優しいオレンジの香りが漂う。 「はあ、いい香り」 甘く優しい香りにリラックスし、熱いお湯を浴びると少し気持ちが落ち着いた。バスタオルを身体にギュッと巻き付けシャワー室をから部屋に戻ると、そこは宇宙だった。 「え? こ、ここは?」 「ここ座って」 ベッドに座った白亜が隣りをポンポンと叩く。 「あ、は、はい」 座るところも星が散りばめられている。 「どう? ホログラムなんだ」 以前、屋内で青姦の雰囲気を出したいという赤斗の願いを叶うべく、商店街の仲間たちで開発した世界でも最高峰のプロジェクタだった。 「すごい……。宇宙に浮かんでるみたい」 「でしょ? ほら、あれが金星」 「ああアフロディーテですね。じゃ、こっちは火星かなあ」 「うん。火星と金星は夫婦なんだよね、確か」 「ええ、夫は火星のアレスかな」
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