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白亜の部屋はホログラムによって様々な空間になっている。今日は海底だ。自分のそばを泳ぐ深海魚を思わずつかもうと手を伸ばすがもちろん、手は空を切る。
「あーやっぱり偽物!」
「フフッ。でも色んなとこに行けて楽しいでしょ」
「はい。さすがに宇宙にも海の中にも転勤することないですね」
全裸の二人はのんびりと海の中を漂う気分になる。
「リアルなのは俺たちだけだね」
白亜はそっとミサキの腕から手を伸ばし胸を撫でる。
「あ、え、ええ。今日、胸が大きくなったねってみんなに言われたんです」
「へえー。確かに大きくなったけど、女の子たちって鋭いねえ」
「で、きっと白亜さんとラブラブだからだって、言われました」
「フフッ。そうと言えばそうなのかな」
くるりと向きを変え、ミサキは白亜の胸元に顔を埋める。
「あの、私、今日は最後までって思って来ました」
「最後まで……」
ミサキの緊張が肌で伝わり、白亜もうんと頷く。二人は恋人同士でパイずりはするのに、まだ身体を重ねたことはなかった。
「待っててくれてありがとう。私、好きです。ほんとに白亜さんの事」
「ミサキ……」
「だから結ばれたい……」
気持ちが沸き上がるまで待っていた白亜の紳士ぶりに、ミサキは感激と募る思いを溢れさせている。
細身だが逞しい腕で白亜はミサキを抱きしめる。そして耳元で甘く囁く。
「ほんとに今日は抱くよ? ダメって言われても止めてあげないからね」
媚薬でも交じっているかのような、甘い蜜のような囁きにミサキは息が上がってくる。
「どうする? このまま海の底がいい?」
少し考えてミサキは意を決して答えた。
「あの、映像はなしで、白亜さんのシンプルなお部屋がいいです」
「ん。最初はそれがいいね」
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