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人気のあるワインはミディアムボディのところで一番参加者がにぎわっている。フルボディのところには青音と、一番に来ていた女性だけだった。
静かにグラスを傾ける女性に、紳士らしく丁寧に青音は話しかける。
「こんにちは。一番にきてましたね」
「はい。次はあなたでしたね。山本青音さん」
女性の名札を確認して「佐々木優奈さん、素敵な名前ですね」と微笑する。一見控えめで非社交的に見える青音だが、実際は物おじすることもなく女性と会話を楽しむ。ただ同じ会話量でも冷静沈着に見える分、白亜や黄雅よりも静かに大人しく見えた。
佐々木優奈も微笑みを返しながら、ワイングラスをテーブルに置きチーズをつまむ。
「このチーズ、ほんと美味しい。えっとなんだっけ?」
「ブルーチーズですね。たぶんゴルゴンゾーラ」
「そうそうブルーってほんと美味しい」
彼女はブルーを強調したような言い回しをする。
「フルボディが好きですか?」
「そうですねえ。好きというか複雑なものにしつこくしちゃうって言うか。すぐに飲んでしまえるものには魅力感じないのかな」
「なるほど。僕もそう思います」
ミディアムボディとライトボディの周囲にいる参加者たちの明るい雰囲気と違い、青音と優奈はアダルトな深い雰囲気を醸し出している。
「そのワンピースに赤いワインが良く映えますね。良く似合ってる」
「嬉しいです。私、ブルーが好きなので」
青音の聞き間違いではなく、やはりブルーを強調する。
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