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「僕も青色が好きですよ」
「ですよね。そのシャツも眼鏡のフレームもブルー系ですね」
再認識するように彼女は青音を眺める。珍しく自分の方がよく観察されている気分になり、青音は不思議な心持になる。
「そうそう。今、ブルーのワインもあるみたいですよ。まだ飲んだことありませんけど」
「へえ。今は色んなものがあるんですね」
優奈はそつのない話しぶりで癖がなく灰汁もない。気が付くとだんだんと周囲はカップルが決まってきたような雰囲気になっている。青音は結局この佐々木優奈という女性としか話せなかった。それは彼女も同様だった。
しかし食の好みが合い、探り合うようなコミュニケーションが好ましくは思い、青音は彼女の名前を書いた。彼女も青音の名前を書いていて見事カップル成立となった。
パーティーが終わり、不成立だった黄雅と白亜をちらりと見ると少ししょげているようで気の毒に思えた。更に、黒彦が厳しい表情をしているところを見ると、二人に何かしら説教をするのだろうと予想がつく。
黒彦は厳しい長兄のようだ。しかし優しい次兄である赤斗がフォローを入れるだろうと思い青音は、優奈を誘い、『イタリアントマト』を後にした。
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