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「今度行きたいところある?」
「えーっととりあえずまたお食事でも」
「そうだね。食べることは大事だしね。どんな料理が好き?」
「んー。和洋中何でも食べますけど、新しい味を発掘するのが好きですよ。新しいお店とか」
「なるほど。保守的ではないみたいだね」
あまり外食をしない青音は、良さそうな飲食店を情報通の黒彦にでも尋ねようと思ったが、彼は桃香の手料理ばかり食べていると思い直し止めることにした。そして思い出したように尋ねる。
「料理とか家事は出来る?」
「ええ、一人暮らし長いので大丈夫ですよ」
家事には不安がなさそうなので、母親の桂子が嫌な顔をすることはないだろう。一応、婚活なので不安要素を取り除かねばと青音は生活をしていくことに重点を置く。ただ、青音も家事は一通りできるので相手が出来なくても困ることはなかった。
(うん。婚活ぽい質問だな)
優奈がそれっぽいことを聞いてこないが自分がそれらしいので妙に満足した。
それなりに充実した日だったと思い、青音は風呂から上がった。パジャマ代わりの浴衣を羽織り、涼みながらこれから何を知っていけばよいか考える。
(食の相性と――あとは身体の相性か)
精神性を重んじる青音にとって身体の相性そのものより、性癖が合って欲しいと願うのだった。
(飲んでくれるだろうか……。無理強いは良くないな)
紳士である彼は、自分の性癖を強いるつもりはない。願いが叶うようにとそのワンシーンを映像化しつつまどろんでいった。
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