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公園を抜けた後、優奈はホウっとため息をつく。
「ああ、とうとう青音さんとキス……」
軽く触れた程度だったが手よりなにより一番に唇が触れたのだ。
「これが大人の男のお付き合い……」
青音の唇は想像より柔らかく温かかった。
「いつも写真にはキスしてたけど、やっぱり実際って違うものなのね」
何度も何度も頭の中でさっきのキスを繰り返す。残念ながら目を閉じていて、空けていたとしても近すぎて視界はぼんやりしているだろう。
「はあー。どこかでカメラ置いておくかなあ。青音さんのキスシーンなんて……。いや、まって。相手自分だし、そんなの見るのちょっとねえ」
冷静になると今日のデートを思い返す。バッグから景品の帽子を取り出し眺める。
「あーあ。今まで大人しくしてたのになあ。変に思われてないかなあ。思ってても言わないと思うし」
青音が好むだろう女性像を演出しているつもりだが、やはりボロがでる。
「私の事、知ったらどう思うんだろう」
このままの状態で付き合っていけるのかどうか優奈は不安だったが、嫌われるのはもっと嫌だと思い、もう少しこのまま頑張ることにした。
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