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「ほら見てっ まー君。
あの大きな雲何かに見えない?」
「えぇ~? どれ~?」
とある日の昼下がり。
私は甥っ子を連れておさんぽに出ていた。
休みを取れたので実家に甘えに来たのだが、兄の子を少しの間みてることになってなんとなく外に出た。
「あそこの大っきい雲。
ソフトクリームみたいでおいしそうだよ~」
「えぇー……でも、くもは食べれないよー」
「ほら! 手を伸ばしたら食べられるかも!」
「ふ~ん……あっ! 大っきいひまわり!」
慣れない子守りで頑張っていても子どもは自由気ままだ。話をしていても内容がコロコロ変わる。
「じゃぁひまわりさんにも会えたしそろそろ帰ろっか?」
「うん!」
気がつけば家から少し離れた田園地帯まで来てしまった。田舎過ぎて次の目標も思い付かず、賛成してくれて安堵した。
綺麗なひまわりも休耕田を利用したご近所さん達に感謝だ。
「ただいま~!」
「あっ、ちょっと……」
実家につくと、兄の車が帰ってきてるのを確認したまー君が元気に駆け出した。
「おお~! お姉ちゃんに遊んでもらって楽しかったか~?」
「うん!」
追い付いた時には兄に抱き抱えられたまー君達の声が聞こえて嬉しくなった。
「……ん、何食べてるんだ……?」
兄の言葉に疑問を抱く。
家から出るときには何も持たず、ひまわりまでの道のりにも商店は一つもない。
「……何かくれたのか?」
「いや、何も……」
兄の質問にも戸惑いつつ返事をする。
何かをあげた覚えもないし、誰にも会わず手を繋いで歩いて来ただけだ。
「くも!」
そう言って細長い何かを見せてくれたまー君。
その手に捕まれたソレを見て、私はトイレへと駆け込んだ。
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