美味しいものは幸せを運んでくる

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「いえ、夕凪くんとは少ししか話したことなくて……何の話ですか?」 彼は少し残念そうに答える。 「話聞いてないならこれから説明するよ。さあ僕の家に着いたよ入って入って」 「おじゃまします」 そう言って入りリビングに案内されると私は固まってしまった。 リビングにはたくさんの人であふれていたから 「楓! その子がもしかして? 可愛いー。ねぇ名前なんて言うの?」 「あれ? 固まっちゃってる? 緊張なんてしなくていいのに」 「もしかして何も話さずに連れてきたの? 事情話さないとダメだよね?」 そんな話をしていたけど、わたしの耳には入って来なかった。過去の記憶がフラッシュバックしてしまっていたから。 「妹ってうそなんでしょう? 本当は彼女のくせに!」 「妹です! 兄に確認していただければわかることです」 「妹だかなんだか知らないけどあの人に近づかないでくれない? あなたじゃまなの」 その言葉が頭の中にひびき顔が真っ青になっていくのを私は感じた。 それに気づいたのか女の人が声をかけてくる 「ねぇ大丈夫? 顔色悪いよ?」 けれど、その言葉もむなしく私の意識は途切れた。途切れる前に兄さんのどごうが聞こえた気がした。気のせいかもしれないけど そして目が覚めると心配そうな兄さんの顔が目の前にあった。 「あれ? 兄さん? 私倒れたの?」 「ああ倒れた。ったく心臓止まるかと思った……梓が連絡してくれたからよかったものの連絡してくれてなかったらどうなってたことか」
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