はじめ、のはなし

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そうこうしているうちに 降車のアナウンスが車内に鳴り響いた。 職場と自宅のちょうど間にある駅。 改札横のパン屋に並んでケーキ屋、弁当屋。 近くの階段を下ればカレー屋があって 少し歩けばコーヒーのかおりが漂ってくる。 その横をすぎれば学生時代からのアトリエがある。 課題で作った作品がやたらと大きいものばかりで 実家に持って帰るのが嫌になり借りた場所。 アトリエといっても普通の賃貸アパートで 隣の壁をぶち抜いたような空間だから 流し台と洗濯用の蛇口がむき出しになっていた。
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