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「やだ! ぜっっっったいに! しないからね! 朔とはそういう関係じゃないし」
「どうでもいいだろ」
「よくないの!」
「……っんとに、めんどくせぇ」
「ハァ」──吐息のような溜息を一つ零して、朔は上半身を少しだけ引いた。ようやく諦めて別の方法を考えようとしてくれたのかな? ごねてみるもんだね、なんて思ったのもつかの間。朔がちょうどオレの頭の上にくるように手首ごと手を背後の壁に押し付けた。
え、なんでオレ壁ドンされてるワケ?
「さ、く……?」
「…………」
いや、無言で見下ろしてくるのやめよう!? 不穏な空気を感じてちょっとだけ身じろぎしたら、今度はオレの膝を割って朔の逞しい膝頭が差し込まれる。いやいやいや! 待って待って!
「朔!?」
「逃げんなよ」
逃げられないようにしてんの朔じゃん!! 高校生らしからぬ低音が頭上で響くのには、軽く恐怖を覚える。
「すぐ終わる」
「そういう問題じゃ……! あっ、ちょっと!! やだってば!」
ぐっと朔の顔が近づく。これは本格的にヤバイ。
どうにか腕を伸ばして朔の胸板を全力で押し返そうと抵抗してみる。
うぅ……ドカタバイトの高校生ってこんな硬いの!? 体幹しっかりしすぎてびくともしない。
「おい、暴れんな」
「やだって言ってるのにッ……!」
「文句はあとで聞いてやる。……覚えてたら」
「~~ッ!! バカッ!!」
拳に目一杯力を込めて逞しい胸板をドンドン叩く。
朔のことは嫌いじゃないし、寧ろ好きだけど、そういう意味の好きじゃないし、理由があってもキスするようなアレでもないし! っていうか、心のこもらないキスなんて、いくら親友相手でもお断りだよ!
「もっ……ホント、やだッ……!」
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