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CASE② 愛を目に見える形にした結果
「──ッん、ぁ……ち、……ちゃ……」
「カワイー声出しちゃって。リュウさんってホント背中弱いっスよね?」
「──ッ! るっさい……ッぁ──、やっ──!」
「つーか、こんな背中弱くてマッサージ頼んでくるとかマゾなんスか? リュウさん」
「ッ、違うって──ぁんッ」
「はー……ダメ、色々ムリ。はい、終わりましたよー。ちょっとは楽になったっスか?」
ベッドの上──オレは真下にうつ伏せ状態で寝そべっているリュウさんの肩をポンポンと叩いた。抱え込んだ枕から顔を上げたリュウさんは、うっとりとした表情のまま「んー……」と小さく声を上げる。
モゾモゾし始めたから素直にリュウさんの上から退くと、ゆっくり上半身をひねり起こしたリュウさんは両腕を突き上げるようにして大きく伸びをした。そしてオレの質問に答えようと振り向きざまに口を開く。
「まぁまぁ?」
「うっわ……十五分も頑張ったのに〝まぁまぁ〟とか。けっこう自信あったんスけど?」
散々な評価にオレは思わず口を尖らせた。
今日は久々のデートだから、すげぇ楽しみにしてた。
前から二人して観たいって言ってた映画観て、まとめサイトに載ってる流行りのデザートを食べに行く予定だったんだけど、リュウさんが「先に行きたいトコがある」ってオレを引っ張ってきたのは歓楽街にあるホテルだった。
普段オレから誘うとめっちゃ顔真っ赤にして緊張しちゃうあのリュウさんが、自分からオレを誘うなんて予想外もいいトコだ。
しかもこんな真っ昼間に。よっぽど切羽詰まった状態!? なんて思えばその気がなくても自然とその気になっちゃうのが男の子。
「死角はシタゴコロ」──なーんて歌もあったっけね。
部屋に入って即リュウさんのことを抱きしめる。逸る気持ちが抑えきれなくて噛み付くように唇へキスすると「ちょっと待って!」って顔面ムギュって掌で押さえられた。
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