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この時の願いが天に通じたのだろうか。
親切なカレから貰い、試験の合間合間に食べた、疲労した脳によく効くというブドウ糖がふんだんに入った『ラムネ』が効果を発揮したからだろうか。
私は希望していた第一志望の大学に合格した。
そして、その後――――。
落とした私の受験票を拾い、私の動揺を取り払ってくれた上に、受験する教室まで連れて行ってくれたカレと念願叶って再会することになる。
「……合格、おめでとう。……ま、ネットの合格掲示、見てたから、俺は君が合格したの大分前から知ってたけど」
再会した途端、そう言ってふっと微笑み、再び私を温かな空気に包み込んだカレの名前は――――。
『蒼』……と言った。
【Fin】
19.10.31
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