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京都の寒さは底冷えする程の寒さが特徴だ。 身震いする寒さではあるが、京都市内において普段は雪が舞うことはあったとしても、交通機関が混乱する程、積もることは殆ど無い。 しかし、今日は日本列島を襲う大寒波のせいで数年ぶりに市内にも雪が積もったのだ。 普段の時であれば、『雪の降り積もった京都』というのは観光客にとっても、写真などのデザイン的にも満点の光景だろう。 古い神社仏閣に雪が積もっている姿は、とても趣のある風景で、是非立ち会って実際にこの目で見てみたい景観だと思う。 ところが、受験生にとっては、今日みたいな積もるような大雪は満点どころかマイナスの要素でしかない。 元々、京都市内は歴史的建造物や遺跡がとても多く、又、地下を掘れば必ず何かが出てくる為、工事が中断しやすく、景観の問題もある為か、東京や大阪に比べると電車や地下鉄があまり発達していない。 逆にバス路線がとても充実している。 乗り慣れている人にとっては、バスはとても便利なものなのだろう。 しかし、網目のように張り巡らされた京都のバス路線図は、私にとって昔から天敵と言える存在だった。 何故なら、バスの系統が沢山あり過ぎて、本当に目的地に連れて行ってもらえるのか、市内在住でも無い私はかなり不安になる上に、元々、バス自体に乗り慣れていないので間違った系統のバス路線に乗車したこと、数知れず……。 しかも、京都は観光地としてとても有名で、近年は日本人だけでなく外国人観光客もかなり多くなっている。 その為、JR・近鉄京都駅から市バスでどこかへ行こうとすると、徒歩で目的地へ行った方が実は早いのではないかと疑いたくなる位、目を疑う程の行列に巻き込まれ、異常に時間がかかるようになったのだ。 だから、私は受験日当日は、志望する大学の最寄り駅まで電車で行くことに最初から決めていた。 電車が大雪のせいで計画運休になろうが間引運転になろうが、そんなことは正直、関係無かった。 最寄駅から大学まで多少の距離があったしても、スマホに地図アプリはあるし道順まで表示される。 大学への下見も最寄り駅から徒歩で事前に済ませていたので、何の問題もなかった。 ただ、この大雪で普段は市バスを利用する他の受験生達もダイヤが大幅に乱れることは簡単に予測できたので、移動手段として一番確実(まだマシと思われる)電車を選択した人も多かったようだ。 その結果は言わずもがな――――。 大学の最寄り駅は大混雑し、駅から大学まで受験生が溢れかえる状況になったのだ。 大通りに面した大学までの道は、ガードレールが付いた比較的広い歩道がきちんとあったが、それでも受験生達で埋め尽くされるのは当然のことだった。 そんな中で、私はやらかしてしまったのだ――――。
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