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そのことに気付いたと同時に、私は必死に大きな声を出していた。
「……すいませんっ!止まって下さい!お願いしますっ!!」
悲鳴に近かったかもしれない。
しかしながら、駅からずっと大混雑している人の波は途切れようとはしない。
周りの人達からは、迷惑そうに、奇異かつ冷たい眼差しで見られる。
「止まれる訳、無いやろ。こんな中で止まったら、それこそ大惨事になるわ」
「ごめんね。止まられへん。……悪いけど無理そうやわ」
「止まるなんてアホや」
「そんなんしたら、雪崩みたいになって事故になるわ。全国放送もんやぞ」
「こんな状態で止まれる訳、無いじゃん」
「信号のとこやったら止まれるけど……ここでは無理や……」
「はぁ!?止まれるわけねー。周り見てから言えよな」
次々と浴びせられる非情な言葉達。
「お願いやから、止まってっ!!!」
泣き叫ぶような形で必死に訴えるものの、私の願いは届きそうもない。
「無理やし」
「……あの子、一体何したん?」
「なんや、メッチャ必死そうやねんけど?」
「いや。そうは言ぅても、これは止まったらあかんやろ……」
非情にもどんどんと前へ進んでいく人間の列。
当然のことながら、私もその場に留まることも出来ず、顔面蒼白になりながら人混みの流れに従って流されていくしか術が無かった――――。
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