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志望大学の門の横で、私は途方に暮れていた。
受験生たちは次々と大学構内へと入っていく。
叫ぶ気力も失い目元に涙が浮かびそうになるのを堪えつつ、私は呆然としていた。
次々と入って来る受験生たちの邪魔にならないように門の脇にずれ、その光景をただただ眺めながら、魂が抜けたように立ち尽くしていた。
(……受験票を落とすなんて――――)
『落とす』事自体、縁起でも無い上に、失くしてしまうなんて信じられない大失態だ。
今更、後悔したところでどうしようもないが、本当に阿呆としか言い様が無い。
これからどうしようか、と思い悩む。
この受験生の列が途切れたところで、落としてしまった付近に戻って探したとして、果たして試験開始時間に間に合うだろうか?
そもそも、受験票に貼り付けた写真や受験番号は水に濡れて見えない状態になってないだろうか?
通っている高校の先生を探し出して相談しようともしたが、本来であれば応援に駆け付ける予定だった先生方も、この大雪で間に合っていないようだった。
不安ばかりが募ってくる。
受験生は次々にやって来て、門を通っていく。
まだ列は途切れようともしない。
(……こんな中、逆流して探しにいくなんて、立ち止まる以上に無理やわ……)
今、自分に出来ること――――。
パニックになった頭からは何も思い浮かばない。
(……どないしよう……。どないしたらええんやろか……、何が正解か分からへん……)
涙が頬を伝う一歩手前だった。
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