二年目

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 自分で潮時とかを考えていながら、ふられると思うと途端にこれだ。俺は、おびえながら、祐希の次の言葉を待つ。 「そろそろ、一緒に暮らさないか?」 「…え?」 「いやか?」 「…え?なに…」  人間、思ってもいないことを言われると、頭に入ってこないものだ。  言われた台詞を反復して、噛み締めてようやく意味が理解できてきた。 「なに…泣いてんの?」 「え…」  身体は、にぶい頭より先に理解して、反応していたらしい。 「泣いとらんし!」 「めちゃくそ泣いとるがや」  祐希が笑いながら言う。 「なんで、そんな急に…」 「急じゃないて。ずっと考えとったで。仕事のことで、すれ違ったり、なかなか会えなかったりして。そういうの、もう嫌だなって」  ちゃんと、考えててくれてたんだ。祐希も。視界が涙でぼやけて何も見えない。 「一緒に暮らしたってすれ違いはあるがや」  鼻声で、俺は形ばかりの抵抗をする。 「ま、そうかもだけど」 「どこにするんだて、お互いの仕事の都合もあるし」  俺もほとほとよくわからないことを言い出している。 「住めばなんとかなるだろ。尾張名古屋は城でもつ、っていうがや」  祐希がドヤ顔で答える。 「ここは東京だわ、たぁけ」
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