帰省

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 定刻より一分遅れて、バスは来た。バスの号車ナンバーは、武田から連絡をもらったもので間違いない。  バスの停車位置まで急いで駆け出す。バスが入ってきて、停車した。窓の方を見るが、カーテンがかかっていて中は確認できない。武田の姿を見るまでは安心できない。  プシューと空気音がなり、バスのドアが開く。  次々と、乗客が降りてくるが、なかなか武田は降りてこない。  俺はやきもきして、バスの中まで乗り込んでいってやりたい衝動にかられる。  ほとんどの乗客が降り切ったところで、後ろのほうからゆっくりと、武田がバスの降り口に向かってきた。  その姿を見た途端、俺の顔はにやついてしまったのだが、なんだか足元を見られてしまうように感じて、必死でそのにやつきを抑え込んだ。
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