4人が本棚に入れています
本棚に追加
武田は俺を見つけると、軽く目で合図した。バスを降りるとそのままふらふらと預けていた荷物を取りに行く。
彼以外の乗客はすでに荷物を受け取っていて、バスの乗務員は早くしてほしそうにしている。俺も同じ気持ちだ。
「遅せえて!」
俺が言うと、なにが可笑しいのか、武田が薄く笑う。
「なんだて」
「それ」
ぱんぱんにふくらんだリュックを背負いながら武田が言う。
「名古屋弁、聞くと帰ってきたなと思うなー」
にっこりと笑いながら言うので、さっきまでの苛立ちも全部、いいかと思えてしまう。
最初のコメントを投稿しよう!