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「疲れとらん?」
「疲れた!早く休みてえよ」
標準語でそう言う武田のことを、少し遠く感じる。東京の匂いをまとっている彼を感じる。
「メシは?」
「あーメシ!食いてえ!」
それでは、と、俺たちは地下の食堂街へ向かう。
「なに食う?」
「なんでもいいよ、味噌煮込み、きしめん、あんかけスパ…」
俺は吹きだした「全然なんでもよくないがや」全部、名古屋の名物だ。
「やっぱ離れると、恋しくなるもんだで」
武田が、名古屋弁でそう言う。
俺は武田の肩をぐいっと引き寄せた。
武田は一瞬驚いた顔をして、そのあとはにかんだように笑う。俺も笑う。
そのまま俺たちは食堂街へ消えていった。夜はまだ長い。
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