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二年目
俺と祐希が社会人になって2年目。お互いに休みを合わせて会っているが、すれちがいも多くなってきた。
思えば、高校のときからの長い付き合いだ。ここらが潮時というところなのだろうか。
しかし、あきらめたくはない。これは、ただの意地なのだろうか。
ここまでつづけてきた、その行為が無駄になるのが怖いだけで続けているのだろうか。
そんなことは考えたくない。これから会うのに。
「よっ」
考え事をしていたら、祐希が来ているのに気が付かなかった。
今日は祐希が仕事で俺の家の近くまで来るということで、そのまま俺の家に泊まることになったのだった。
「早く行こーぜ。早く、あったまりたいよ」
「そだな」
東京で暮らす祐希と過ごせる時間を多くしたいと思って、俺も就職を期に東京へ出てきたのだが、かえって、近くに来たことで細かな不満が募ってきていた。
俺の家に着いてすぐ、祐希は持っていた鞄をそのへんに投げ出し、ネクタイをほどくとそれもそのあたりにぽいと投げて後ろから抱きついてきた。
「ちょ、まだ風呂入ってね…」
後ろを向いて言いかけたところをキスで遮られる。
「ぶっ」
「いいじゃん、俺気にしないし」
「お前がよくても俺がっ…、あっ」
どんどんキスを首筋へ、そして手のほうは身体をまさぐってくる。
「あっ、ちょっ!」
もう、ずるいやつだ。色々不満があっても結局こういうのでごまかされてしまう。
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