4人が本棚に入れています
本棚に追加
その日は、飯を食うのも忘れてしまくって、全部出し切って崩れ落ちるようにして眠った。
朝になったら、なにに不満だったのかもわからなくなっていた。
横にいる、祐希に抱き着いて、その感触を、体温を、感じているだけでどうでもよくなってしまう。
「ん…おはよ、翔人」
「おはよう」
「どした?そんなふくれっつらして」
霧散したと思っていた不満のかけらが、顔にだけ残っていたらしい。祐希がくしゃくしゃと俺の頭をなでる。
「やめろよ、昨日風呂入ってないんだから」
「あー、そうか。一緒に入ろうか?」
いたずらっぽく祐希が笑う。
「ばか」
照れながら俺が言う。
「な、翔人、おれら付き合いだして何年になる?」
「高校3年からだから…6年かそこら?」
「そっか…長くなるな…」
なんだこれ。まさか、別れようって言われるんじゃないだろうな。
最初のコメントを投稿しよう!