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夏
「お前、卒業したらどうすんの?」
俺は、武田にずっと聞けないでいたことを聞いた。
「俺は…」
武田は目の前に流れる河を眺めて、しばらく黙っていた。
俺も、答えを待って、河のほうを見ている。俺たちの座っている土手には夕日がさしていて、川面が照り返す光に、二人して目を細めていた。
「俺…東京の大学行くわ」
前を見たまま、武田が答える。
「ほうかぁ…」
俺も彼のほうを向けずに足元の土手に生えている草に目をやる。
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