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廊下を歩いていたら、つままれました。
猫かなにかのように首根っこをつままれて、ひょい、と倉庫に持ち込まれました。
昨日は警察に指紋を調べられたらどうしようと思っていたのに、今は警察に来て欲しいです。
そんなことを考えながら、帯刀に、よいしょと猫か物のように倉庫に持ち込まれた羽未は、なにか防具になるものはないかと目で探していた。
帯刀のあの鋭い視線と突き放したような口調に対抗できる防具など、こんなところにはなかったのだが……。
うーん。
あのA4コピー用紙の束が一番頑丈そうか?
と周囲のスチール棚や段ボールを眺めている間に、すでに攻撃を受けていた。
「……なんで走って逃げた」
教師に壁際に追い詰められ、問いただされているような雰囲気だった。
「え? 今ですか?」
いや、走る隙もなかったんだが、と思いながら、羽未は訊く。
その表情に、違ったようだ、と思った羽未はまた慌てて口を開いた。
沈黙が怖かったからだ。
「あっ、じゃあ、今朝ですか?
ロビーで課長を見て、走って逃げ……」
途中で帯刀が渋い顔をしているのに気がついた。
「今朝も逃げてたのか」
あ~っ。
しまった~っ!
と羽未は頭を抱える。
バレてないことまで、暴露してしまったようだ。
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