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素早く小鉢やメインのデミグラスソースたっぷりのハンバーグを取り、会計を済ませた羽未は、女子ばかりの席に潜り込む。
「なにやってたのよ、羽未。
遅かったじゃない」
と座ってすぐ、同期の和花に言われた。
和花は、おとなしげで古風な感じの名前に反して。
ショートカットで、かなりの体育会系。
そして、いまどきな感じの女子社員だった。
「ごめんごめん。
トイレ行ってて、出遅れた」
そう笑って誤魔化しながら、羽未は離れた席に座った帯刀を窺う。
……行かなきゃよかったなー、トイレ。
そしたら、課長と前後に並ぶこともなかったのに~と羽未は思っていたが。
そもそも、帯刀と一緒に並ばずに済む、という状況は、このときの羽未には用意されていなかったのだが。
羽未はまだ、そのことを知らなかった。
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