懐かしい味

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 夢を見た。  幼きころの、母に看病されていた夢だ。  ここ最近は多忙で、しばらく休めていなかったからだろう。  私は、夢から醒めようとは思わなかった。  そんな私に、母は木製のスプーンで卵おじやを食べさせる。  出汁を吸って柔らかくなった米は、噛めば噛むほど甘味が増していく。それでいて、大根や舞茸と言った具材たちが、曖昧な食感をはっきりさせてくれた。 記憶の奥底に眠っていたあの優しい風味が、再び舌の上を転がる。  夢というのは不思議だ。脳内で発生してるイメージなのに、本当にそれが実際に起きているように思えてしまうのだから。  夢で食べた卵おじやも、とても懐かしく、温かい味がした。  起きたら、久々に母に電話でもしてみようか。  そんなことを思いながら、私は夢の中で卵おじやを食べ続けたのだった。
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