0人が本棚に入れています
本棚に追加
夢を見た。
幼きころの、母に看病されていた夢だ。
ここ最近は多忙で、しばらく休めていなかったからだろう。
私は、夢から醒めようとは思わなかった。
そんな私に、母は木製のスプーンで卵おじやを食べさせる。
出汁を吸って柔らかくなった米は、噛めば噛むほど甘味が増していく。それでいて、大根や舞茸と言った具材たちが、曖昧な食感をはっきりさせてくれた。
記憶の奥底に眠っていたあの優しい風味が、再び舌の上を転がる。
夢というのは不思議だ。脳内で発生してるイメージなのに、本当にそれが実際に起きているように思えてしまうのだから。
夢で食べた卵おじやも、とても懐かしく、温かい味がした。
起きたら、久々に母に電話でもしてみようか。
そんなことを思いながら、私は夢の中で卵おじやを食べ続けたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!