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―――子供が4人もいたので、歩夢もそのまま一緒に2ヶ月程入院生活をして、そのあと子供たちも歩夢も無事に退院をした。
新しい新居にも慣れ、今では信輝は独身ながらも、2人の手伝いで時々、子育てに参加していた。
「歩夢~、泣き止まないんだけど~」
「あ~、はい、はい。どうしたの?お腹空いてるのかなあ。この子、凄いミルク飲むんだよねえ。ちょっと待ってて。今、作って来るから」
「歩夢~、こっちも泣き止まないんだ」
外で、子供2人をあやしていた駿叶が戻って来た。
「多分、ミルクなの。今、作るから待ってて」
歩夢は4人分のミルクを作りに台所へ行った。
そして、ついに4人一斉に泣き始める。
「うわあ。これは大合唱だな。歩夢~、悪いが大変な状況だ。ミルク早目に頼むよ」
「は~い」
【あの頃、色々悩んでいたのは何でだろう】
と、ふと思いながら歩夢はミルクを作っていた。
駿叶が突然現れ、運命の番だと言われたのあの時は、こんなに賑やかな楽しい暮らしになるとは思っていなかった。何よりも、親になった今でも、こんなにも駿叶が好きで、傍にいるだけで幸せに思う日々。自分の子供たちも、そんな人に巡り合えたらいいなと思っていた。
「お待たせ~。はい、ミルク」
「やっぱり、お腹空いてたんだな。急に静かになった(笑)」
「うん。――駿叶さん?」
「ん?」
「駿叶さん、僕が初めて会った時より前から僕の事知ってた?」
「うん。実は知ってた。異動前に書類を置きに来た時。あの時に歩夢の匂いに気づいた。だから、歩夢の姿を見た時、やっと会えたって思ったんだ」
あの頃の事を駿叶は思い出す。匂いの先にいた、綺麗な黒の耳と尻尾を持つ、猫種の歩夢。男だけど、小柄で気品のある顔立ち。でも、自分の前では可愛い仕草を見せてくれる。今では都市伝説と言われている。でも、自分の両親が会ったように、駿叶も巡り会えた『運命の番』。
「そうだったんだね。それでね、あの時、出産の時に言い掛けた事なんだけど…」
「ああ、あとで言うって言ってたのだね?」
「うん。あれ、今言っていい?」
「うん」
「――僕を見つけてくれてありがとう」
その一言を言うと、駿叶の頬に軽いキスをした。
「俺こそ。ありがとうな、歩夢」
駿叶も、歩夢の頬にキスをした。
2人だけで楽しそうに見えたのか、すぐにまた4人一斉に泣き始めた。
「あ~、もう~。イチャつくのは2人だけの時にしろよな~」
泣き出した子供たちをあやしながら、信輝が言った。
~『誰もが見つからなくて、
出会うかもしれないもの』おわり~
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