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「オクビョウモノ」
昔から、何か大事なものが欠如している。
勇気がなくて、人見知りで。
そのくせ、何にも疑問を持つたちで、質問をよくしていた。
本が好きで、ここまでそれだけで生きてきた気がする。
文もそこまで上手いわけではなく、楽しかったわけでもなかった。
ただ、生きていた。
どこか敏感で、でも思考を含め全てが稚拙だから、どうしようもなく傷だらけになるのだ。
生きにくい。
言葉に敏感で、それを周りの人に押し付けてしまっていることが最近の内海の悩みだった。
そもそも内海はそういう人が嫌いだった。
正義だとか、思想だとか。
2つとして同じものはないのだろう、だから自由に考えさせてほしい、と切実に願っていた。
「自分」でいたかった。
『トクベツナジブン』でありたかった。
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