第1話 初出場

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 町畑出火報。町畑市下山田〇番地。  なんと自宅から数百メートルの場所。父親と自家用車に乗り現場直行。  何もわからない。わかるはずもない。今日入団したばかりだ。団員とは7日の総会で顔合わせの予定だった。分団長以外、顔すらわからない。父親についてきたが、この時の父は副方面隊長。忠和方面全分団を指揮する立場で、新人に構っていられないのだ。8分団のポンプ車を探すようと言われたが、普通火災には忠和方面隊全体が出場する。忠和方面隊だけで8台と照明車、他に消防庁の消防車は指揮車、救助車、はしご車、救急車、ポンプ車なんて多数。四方八方から出場してくるし、現場できれいに駐車なんてしない。8分団のポンプ車をやっと見つけたとき、ポンプ車と消火栓が繋がれ、ホースも延ばされ、いつでも水を出せる状態だった。しかし、火災はボヤで放水の必要はないと分かった後だった。 こうして初出場は大事に至らず、僕は何もできず、団員との顔合わせで終わったのだった。
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