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初恋
あれは小3の夏休みの終わり、オレは宿題の参考になる本を探すため母親に市立図書館に連れて行ってもらった。
並ぶ書架の下段で目当ての本を見つけ、しゃがんで取ろうと手を伸ばした時、右耳にささやきが……。
「好き……」
首を振って周りを見渡したけれど、同じくらいの小学生の後ろ姿がちらっと見えただけだった。「リオ」と誰かが呼んでいる。その子かどうかもわからない。
右頬に触れた唇と髪、それとふわっと残った甘い匂い。
「将宗、見つけた?」
「うん」
「どうしたの? ボーッとして」
「なんでもない」
誰? 今のは何?
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