嫌われた王女

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 後日、私達が城下町で遊楽に(ふけ)っていたことがお父様の耳に入りました。  妹は隠し通そうと手立てを加えたみたいですが、お父様の方が一枚上手(うわて)だったようです。  私は妹を庇いました。「私が無理にお願いをしてしまったんです」と、お父様と妹の間に割って申しました。そして、私は妹をたぶらかした姉という札をぶら下げ、地下牢に閉じ込められたのです。  私がこの地下牢にいることを知っているのは、おそらくお父様とお母様、そして執事のハウナーだけでしょう。  私が地下牢に閉じ込められていると妹が聞けば、妹は黙っていないはずです。執事のハウナーにそれとなく聞くと、私は病気で亡くなっていると告げられました。それは民の知るところになり、知らない間に私はこの世界から消えてなくなったのです。  ただただ広い地下牢には、気を紛らわせる娯楽など何もなく、宙で舞い踊る虫達を眺められるだけでございました。  虫達は壁にできた隙間から入ってきているようでした。私の背丈より高い場所にあり、腕を1本入られそうな隙間です。私の今の安らぎは、外の世界を見ることができる、小さな隙間だけでした。  壁から()り出した土の段差を上れば、隙間から外を見ることができるのです。そこから入ってくる新鮮な空気を吸入しますと、咳も少し収まりました。  壁の隙間から見えるのは、城の側にある庭でした。  新緑の草木と青い空が少し見えるだけでございました。それでも、外と繋がっていることが分かる景色が、私にかすかな生きる希望を与えてくれたのです。  この隙間を使って逃げ出すなど、到底不可能だとすぐに分かりました。逃げようとも思いませんでした。王女に相応しい綺麗な女性に生まれてこなかった私が悪いのです。綺麗になれなかった罪と妹に迷惑をかけた罪。二重の罪を背負い、私はここで償うしかないのです。私には、もう何も残っていないのです。
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