「混ざり混ざった思いの中で」

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「甘さとほろ苦さ 相対するものが合わさると名作が生まれます。」 温かなフレンチトーストと 1杯の紅茶を運びます。 ノートパソコンは 一旦お休みに。 お客様がフォークを入れれば 心地良い音と共に じわっと染み出す黄金魔法 お客様からの隠し味は 甘さを包み すっと後味をしめるスパイスに 「混沌とする中で どのように向き合うのか。そして、好きなものが嫌いになったり、嫌いなものが好きになったりする場面がいつ 何回起きるのか。 それは、永遠の課題かと思われます。」 お客様の目は 先程より緩やかになりました。 「ただ1つ確かなことは、店内を撮影するお客様のお顔は、とても素敵であったことです。」 お客様は最後に 看板娘の撮影をご所望されました。 多少モヤモヤはありますが 看板娘は定位置に アングル決めて 軽快な効果音 双方の姿は とても素敵でした。 本当は大きく宣伝したいけれど あまりしないほうが 良さそうですね。 お客様は 微笑んで 名刺を下さいました。 外の様子は いくらか穏やかでした。 「好きと嫌いは 隣り合わせだよ。」 久しぶりに私に抱かれた看板娘 お客様のつぶやきに その美しい姿が写真付きで褒められている画面を見て 目を細めて みゃあと鳴きました。   
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