夜カフェ 流れ星

「こんな日も ありますね」

「誰もが経験する道。しかし　たった今その道を通っている人にとって　その言葉は時に残酷。」
お客様の真っ直ぐな視線の先に　生まれたての湯気が立ち込めます。
「必要なのは、その苦さを包むこと。」
抽出された漆黒の水面に　白い螺旋が描かれて
それは葉となり茎となり　一輪の花になりました。

「白バラの花言葉は　『尊敬』。お客様のひたむきさに　敬意を込めて。」

お客様は　温かなカップを手に取り　見つめていました。
飲むのがもったいないですと　初めて笑って下さいました。

月明かりがうっすら灯る店内に
人生において決して避けることのできない苦さと
苦さに謙虚な姿勢で向き合った傷跡を癒やす甘さが
入り混じり　漂っています。

クラシックはお好きですか？
今宵の夜を演出するレコードを　おかけしましょう。