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おかあさん わすれたくない。
かじった後から流れ出る
どうしようもない思い
おとうさん わらってほしい。
2口目から見え隠れる
隠したままの思い
どうしたら いいんだろう。
3口目からこぼれ落ちる
迷いと孤独と涙色
「幸せは 一時では現れないことがございます。それがすぐに見つかるかもしれませんし、果てしない時間を要するかもしれません。また 何をもって幸せとなるのか それが全ての人にとって幸せなのかも 分かりかねます。」
お客様は 看板娘の差し出す 温かなおしぼりに顔を覆いました。
「ゆっくり 進みましょう。」
おかあさんの あじがする。
お客様は 小さな声でおっしゃいました。
残念ながら私は お母様ではございません。
しかし
私の慣れない手料理が、お客様のお心に何かを照らせているのでしたら
嬉しいことです。
おむすび作ったの 初めてですよね?
看板娘はお見通しのようです。
ふわぁっとあくびをし 4本足の器用な後片付け。
お連れ様とお会計を済ませ ご帰宅されたお客様。
その後ろ姿を見てみると
ぎこちなさがありますが
3つの影は 少しだけ 近づいている気がするのです。
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